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新鮮なおかずを必要なだけ自分で作り、それがほどよい運動になる。畑でのおしゃべりも楽しい。「月に一、二度の弁当届けもいいけどね」これも一種の食事サービスじゃないかというわけです。「サービス」といっても、畑を割り振るだけで、あとはお年寄りが自分で作って食べるだけだから、何もしていないに等しい。そう見えるところが、実はクセモノです。近隣ではこのように「やってあげた」ことがわからないようにするのがコツなのだと言いたげです。

一人暮らしだと、どうしても自分の世界に閉じこもってしまいます。毎日着た切りスズメで、おめかしする気もなくなる彼らを見ていて、蓮見さん、東京散歩に連れ出そうと思い立ちました。「せっかくだから、おめかししようね」とひと言添えるのも忘れません。そのために新調したに違いないブラウスとパーマ姿を見て「一〇歳も若返ったよ!」とおおげさにびっくり。「おかげで忙しかったんだよ」とグチりつつも、何十年ぶりかの「スケジュールをこなす」日々をうっとり振り返っているようです。

さて当日、都会の雑踏にもまれ、フランス料理を堪能し、「今度出かけるときはこれで」とイタリア製のバッグを奮発して買う優雅な一日。ご近所へ興奮気味に報告してまわる彼らを、ほほえましく見守る蓮見さんでした。

 

近隣型助け合いとは…?

お互いの顔が見え、生活の内情がわかりあっている近隣の住民同士が、お互いの心を大切にしながら、日常生活の営みの中で、『自然流』に身の回りのお世話や家事、介護、食事づくりなど生活するために必要なことを互いに支え合い、助け合うことをいいます。

 

 

 

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