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普段着の近隣型助け合い講座 No.1

「わかるふくしネットワーク」主宰 木原孝久

「でしゃばり」さんの効用!

 

あなたのまわりにも「お節介焼き」とか「でしゃばり」といわれる人がいますね。こういう人は地域にどれぐらいいるのか? 長野県のある福祉機関が調査をした中で、「あなたのまわりに困った人がいたらどうしますか?」という質問がありました。最も多かったのは、予想どおり「頼まれたらかかわる」でしたが、私が興味を持ったのは「積極的にかかわる」というもので、一五%程度だったと思います。およそ七人に一人。隣組に一人はいる計算になります。この人が「でしゃばり」さんなのでしょう。たとえばこんな…。

 

千葉県袖ヶ浦市の蓮見テエさん(六五)は、足元に休耕田が広がっているので「もったいない」と借り受け、近所の人と家庭菜園を始めました。ある時周囲に何人かの(八○歳前後の)一人暮らしの女性がいるのに気付き、「一緒にやらない?」と誘いをかけました。「でも、もう足腰が立たないから…」としぶるので、「それじゃ、あたしが畝(うね)を作ってあげるから、それに二坪ぐらいならいいでしょ?」と誘い入れたのです。ナスやトマトは二、三本植えれば毎日収穫できるし、大根の葉も間引き分で足りるはず(お店だとパック買いだから食べきれない)。このごろでは「水をやると、野菜が『ああおいしい』と言うんだよ。明日もあげなきゃね」と、わが子のように慈しんでいます。「今は薬なしで眠れる」とも。

 

 

 

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