当世高齢事情 No.1
社会の高齢化により、従来の慣習や一人一人のものの考え方もどんどん変わってきました。特にお金が絡んでくると問題はさらに深刻。そんな当世の高齢事情をもっとも身近に見ている公証人の方に道しるべのアドバイスをお願いする新シリーズ。さて、あなたはどんな生き方を選択しますか?
再婚に娘が反対。
回答者 清水勇男
蒲田公証役場・公証人。
Q 結婚後七年目に夫を交通事故で失い、二人の娘を必死に育て上げてきました。その娘たちも結婚し、マンションで独り住まいをしている五〇歳の女性です。ある同好会で知り合った同年輩の男性から結婚を申し込まれました。その男性も数年前に妻を亡くし、一人息子も結婚して別に所帯を持っています。これから先ずっと独りぼっちでいるのは淋しいし、不安です。心のやさしい、立派な男性なので、私は結婚したいと思うのですが、娘たちは大反対です。感情的な理由のほかに遺産のこともあるようです。私の財産は、マンションと預貯金など合計六〇〇〇万円くらいですが、私が再婚すると自分たちのもらえる分が少なくなることを心配しているようなのです。それなら、いっそのこと自分の財産を全部娘たちに分けてやってから再婚しようかとも考えるのですが、それも何となく不安です。
なお、男性の息子さんは、これから年を重ねていく父親を一人のままにしておくのは心配なので、再婚には大賛成だと言ってくれているとのことです。