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このような団体は、メンバーの会費と利用者負担で運営されてきたが、一九八二年、訪問看護サービスの費用がAWBZでまかなわれることとなり、すべての市民が権利として、サービスを受けられることとなった。一九八九年には、ホームヘルプサービスもAWBZのサービスに加えられ、実質的にAWBZは、介護保険となったわけである。

オランダの介護保険では、利用者は介護サービスが必要となった場合、家庭医の診断を受け、サービス提供者に申し込み、利用者と保険者とサービス供給者の協議により、給付が決定される。ナーシングホーム等への入所は、自治体の委員会が決定し、在宅サービスについては、訪問看護団体やホームヘルプ団体等により、サービス内容と量が決定される。利用者の自由選択の幅は狭い。つまり、オランダの場合、財源は社会保険でまかなっているが、サービス給付の決定方式は、日本の措置制度に似ているともいえよう。

しかし、選択の自由という要求が強まり、現在、個人予算制度の試みが始まっている。これは、保険者が利用者に現金を支給し、利用者が供給者と契約を結び、直接費用を支払うものである。

このような現金給付制度は、既に一九八○年代末には、患者団体から要求されていた。その理由は、訪問看護サービスやホームヘルプサービスについて、サービス提供団体が、ケア時間、ケアの実施場所、介護者を決定するため、いつ看護婦が来るかわからない、自宅以外の場所(職場など)で援助が受けられない、ケアを受けたい介護者を選べないこと等への不満であった。

 

 

 

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