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ドイツ介護保険は、オランダの経験に学んだものであるといわれる。オランダには、長期療養費用を保障する特別医療費保険があるが、これが高齢者介護サービスもカバーしているため、介護保険といわれている。

オランダの医療保険は、三層制となっている。第一は、長期ケア、精神障害者ケア、身体障害者ケア、ホームケアを対象とする特別医療費保険(AWBZ)であり、第二は、通常の医療を対象とする社会医療保険(ZFW)であり、第三は、成人歯科治療、美容外科、鍼治療、温泉療法など類似療法等を対象とする任意の民営保険である。

国が管轄する特別医療費保険は、一年以上の入院治療、精神病院への入院治療、ナーシングホームおよび身体障害者施設でのケア、ナーシングホームでのデイケア、訪問看護団体による在宅サービス等のサービスをカバーし、強制加入の国民皆保険制度となっている。一九九八年の保険料率は、四万七一八四ギルダー(約二八三万円)を限度とした課税所得の九・六%であり、所得税と一緒に徴収される。かなり高い負担である。

AWBZは、一九六八年に創設されたが、在宅ケアについては、一八七五年から訪問看護サービス団体が、その団体に対して会費を支払っているメンバーに、サービスを提供していた。この訪問看護団体は民間団体で、カトリック系、プロテスタント系、宗教中立系があり、すべての自治体に存在していた。これ以外にも、ホームヘルプサービスの組織があり、家事援助や身体介護の援助を行っていた。第二次大戦後、これらの団体は合併・統合し、巨大な地域独占的な団体に変化していく。

 

 

 

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