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家事援助などでは男性会員が力を発揮できる場は少ないだけに、こうした野菜作りは大きな生きがいとなっているよう。収穫した野菜は本人たちいわく、「売り物になるレベルではない」そうだが、丹精込めて作っただけあって味は上々。会員に無償で配っているが、評判はすこぶるいいという。

「お弁当を届ける際に、一人暮らしをしている会員さんへの心配りとして野菜も一緒に差し入れたところ、"この前の野菜、おいしかったよ。ありがとう"とお礼を言われ、それをきっかけにいい関係を築けるようになるなど、本人たちの生きがいづくりにとどまらず、サービスの利用者と提供者とのふれあいのツールとしてもひと役買ってくれています」

このほかにも、運営資金集めを目的としたフリーマーケットヘの参加などを通じて活躍する会員などもおり、努力の姿、形は各自違っても、それぞれが自分の持つ能力を生かして積極的に活動を行っている。

「こうして元気なうちからふれあっていればいい仲間づくりができるし、そうすれば困ったときはお互いさまの気持ちも自然とわいてくると思うんです。それともうひとつ、最近つくづく感じることは、お年寄り自身も"助けられ上手"にならないといけないということ。助けられ上手なお年寄りだとみんなも気にかけるものですが、逆に"勝手にせい"というような態度をとられたり、反応がない人の場合は、必然的に声をかけられることも少なくなってしまうというのは仕方のないことだと思うんです。つまり、地域の中での人間関係をいかにして築けるかが、できる限り自立して、楽しい老後を送れるかどうかの大きな鍵となるんでしょうね」

 

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98年6月20日。市役所の高齢福祉課長も列席しての設立総会風景。

 

 

 

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