また、ボランティアでの経験を通じて、今までは見えてなかった高齢社会の問題点に気付かされたことも、組織化のひとつのきっかけになったという。
「たとえば、施設ボランティアを始めた当初は、ホームに入れられるお年寄りは気の毒だという思いがありましたが、在宅で一人で暮らしているお年寄りに比べれば、三度三度の食事にも困らないし、面倒を見てくれる人もいれば、仲間もいる。これならホームのお年寄りのほうがよっぽど恵まれているんじゃないかと、見方が変わりました。また、半身不随で要介護状態にあるのに、家族と一緒に暮らしているということで行政のサービスからは足切りに遭っているお年寄りもいました。日中は一人ぼっちだというのに。そうした高齢社会の現状を目の当たりにするにつれ、これからは行政だけに頼るのではなく、住民同士で助け合っていかないと、在宅での生活は悲惨なものになってしまうと痛感させられたんです」
ほんの軽い気持ちから始めた勉強会がまさか、こうした団体にまで発展するとは思ってもみなかったというが、活動をするうちに「はまってしまった」と脊古さんは笑う。そして、二本の編み棒を使って一つの編物ができるように、サービスの利用者と提供者とが支え合いながら活動し、幅広いふれあい社会ができるようにとの願いを込めて、『アミダス』という名前を付けたのだった。