「助成額は市町村との折半で、一施設当たり年間約六〇〇万円の運営費を負担。現在、県内に法人格を持たない宅老所は二五カ所ありますが、そのうちの一八カ所(うち六カ所は宇都宮市の単独補助)が援助を受けています」(県高齢対策課)。
その結果、市町村の委託事業として料金は食事代を含み、一日一〇〇〇円前後の低額で済む。また、宮城県や富山県、新潟県などでも、助成制度を設けているという。
こうした助成を行っている都道府県の場合は、安定的な運営が比較的容易にできるせいか、民営の施設が数多く開かれている。このことからみても、行政の対応と宅老所の広がりとは密接な関係があることが見えてくる。
とはいえ、それでもまだまだこうした補助金や助成金の額は公的サービスのそれとは格段の差がある。しかも、都道府県あるいは市町村によって、その格差も大きい。また、二〇〇〇年四月からの介護保険導入以降も、果たして法人格を持たない民営にこうした助成制度などが存続されるかは微妙だ。そのため、「高齢者が安心できるサービスを将来も提供するためには、法人格の取得が欠かせない」と、NPO法人格の取得をめざすところも出てきている。
いずれにしても、民間デイサービス、宅老といった活動の安定継続、発展のためには、行政のサポートが不可欠といえる。
地域の福祉拠点としても貢献しはじめた宅老所
こうしたさまざまな課題に取り組むためにも、孤軍奮闘する宅老所のネットワーク化を図り、情報交換や研修の場を設けようという動きが、ここにきて、にわかに活発化してきた。