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アメリカでは、どのような助成財団が、どんな金を出しているかで、税の減免措置が付いたり、付かなかったり。世の中のひとつの基準に従うという仕組みがあるんですね。これは政府が、公益性に関する民間の判断を重視しているあらわれでしょう。

堀田 うちも公益法人ですが特増法人(注)ではありません。そもそもボランティアを広める活動が特増の対象として認められていないんですよ。レクリエーションを広める活動は入っているんですが(笑)。世の中の変化に付いてこれない、これなども本当におかしな例ですね。

 

●(注)所得税法施行令第二一七条第一項および法人税法施行令第七七条第一項には「特定公益増進法人」として認められる類型が定められている。通称、特増法人と呼ばれるこの「特定公益増進法人」とは、字のごとく「公益の増進に著しく寄与する法人」のことで、この認定を受けた法人に寄付を行うと、寄付者は寄付控除などの税制優遇措置を受けることができる。現在この類型に三四が定められているが、残念ながら、いまだボランティア活動の推進に関わる活動自体がこの類型に盛り込まれていない。さわやか福祉財団では、現在、新たな類型として追加を要望している。

 

加藤 税金というのは国家権力の行使ですから、もちろんそれを行使するには信頼に足る何らかの基準が必要です。お金を受ける側のNPOでも、しっかりとした情報公開をする。そんなふうに自分たちの公益とは何かを、みんなで考えて、そこで生まれた基準で役所が動いていく、そんな仕組みをつくりたいと、構想日本では「民間法制審(仮称)」という研究会をつくって検討しています。いろいろ障害があるとは思いますが、そうなりつつあるという予感はしています。

堀田 まず、国益とはそれぞれの積み重ねであるというのが出発点で、そこが理解されれば、ではそれを行政が実現できるのか、できないのか。環境、ふれあいとか、住民たちが求めている新しい公益、これはもう行政では満たせないものばかりです。だから次に公益でも行政がやれないものもあると彼らに認知してもらうことが二番目で、それができれば、そのためにがんばっているNPOなどの活動に税金を使ってもいいとなりますね。ただ、そこまで持ってくるにはまだ相当厚い壁がありますが(笑)。

 

 

 

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