コンピュータ処理によって、利用が多角化するだけに保護が必要であるということから制定された事情がある。国の行政機関という範囲内で考えると、電子計算機処理に係る個人情報を対象に限定することはある程度、説得力があるが、民間部門を含めた個人情報の保護の場合は、利用形態が様々であることから、コンピュータ処理に限定することはあまり必然的ではない。欧州連合の指令では、インデックス等で検索可能な情報という定義しており、コンピュータ処理か否かは問わないこととしている。実際の利用の局面で、紙であるか電子媒体であるかの区分は明確でないという事情があることも確かである。
対象で議論のあるもう1つに、私的に保有し、利用される情報を含むかという点がある。「行政機関の保護法」においても組織として保有、利用される情報に特定されており、私的に保有される情報は除外されるのが普通であるが、行政機関の場合は区分が明確であるが、民間部門においては境界がかなり不明である場合が想定され、私的に保有される個人情報を除外することが逃げ道になるおそれがあることも指摘されている。
4] 保護方策・手続
「行政機関の保護法」では、基本的にはOECD8原則に沿って個人情報の保護方策が採られている。実際には(1)収集制限の原則、(2)利用制限の原則、(3)個人参加の原則、(4)適正管理の原則、(5)責任明確化の5つに整理統合した形となっているが、事実上8原則の趣旨をカバーしている。この集約された原則を民間部門に適用することは、民間の自由なビジネス活動を阻害するというおそれや、報道関係部門からは、表現の自由、取材源の確保という観点から問題となるという意見が強いことも確かである。分野や、利用の形態等を勘案した方策、手続が必要とされる所以であり、個別法やガイドラインで対応してきた経緯がある。
(3) 住所変更ワンストップサービス実施に向けた保護方策の課題
ワンストップサービスを想定して個人情報の保護を考える場合、従来の保護法ではカバーしきれない部分が出てくることとなる。主な検討課題は以下のとおりである。
1] 住民基本台帳制度の意義と個人情報保護
住民基本台帳制度は、住民の居住関係を公証するためのものであり、本人以外の何人でも、基本4情報を閲覧することが認められており、住民票の写しの交付も請求できるのである。