日本財団 図書館


5.3.2 人体からの放電による電撃の発生限界

帯電した人体からの放電による電撃の発生限界は、人体の静電容量がほぼ一定とみなせる場合は、人体の帯電電位によって表すことができる。静電容量が90pFにおける人体帯電電位と電撃の強さの関係は、表5.3.1に示されるとおりで、一般に人体帯電電位が約3kV以上になると電撃を受ける。なお、人が椅子に腰掛けている場合、又は特に薄い靴底の履物を着用している場合は、人体の静電容量が90pFより大きくなるので(足にゴム底の靴を履いて鋼板上に立っている場合、人体の静電容量は約300pFとなる。)、このような場合は3kVより低い電位でも電撃を受ける。

1] 帯電物体が導体の場合

帯電物体が導体である場合の電撃の発生限界は、帯電物体の静電容量に関係し、一般に帯電物体の電位が図5.3.2に示す実線の帯電電位より高くなると、電撃を受ける。

 

050-1.gif

図5.3.2 帯電導体の静電容量、電位と電撃の発生電位

(労働省産業安全研究所「静電気安全指針」(1988)より抜粋)

 

2] 帯電物体が不導体の場合

帯電物体が不導体である場合は、一般にその帯電電位が30kV以上であると、電撃を受ける。ただし、次のような場合は帯電電位が低くても電撃を受けることがあるので注意を要する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION