8・5 磁気材料
8・5・1 概要
磁気材料を大別すれば次のようである。
(1) 強磁性体 これは鉄、ニッケル、コバルト等の小片に強い磁石を近づけると、これが磁石となって、その磁極に吸引される性質がある。
(2) 正磁性体 これはアルミニウム、白金などは磁石に吸引されないけれども精密に調べれば、鉄などと同様にきわめて弱い磁石となっている性質である。
(3) 逆磁性体 これは亜鉛、アンチモンなどのように磁石によって動かされないが精密に調べると鉄の場合とは反対の極性をもつ弱い磁石となる性質である。
しかし、実用上重要なのは強磁性体のものであって、鉄、コバルト、ニッケルが主成分となって種々の磁性材料が作られている。そして磁気材料の機能によって磁心材料、磁石材料、特殊磁気材料などに分類され、また、使用目的に応じた機能を必要とすることになる。
8・5・2 磁心材料
磁心材料は変圧器、電動機、継電器、通信機器などに使用する磁心となる材料でこれはヒステリシス損、うず電流損ができるだけ小なることが必要であるとともに、1]誘磁率が大きく一定であること 2]飽和磁気の値が大きいこと 3]機械的、電磁気的に安定であること 4]抵抗率が大きい等の条件が必要である。
これには JISC2503-90-電磁軟鉄棒
JISC2504-90-電磁軟鉄板
等があり広く使用されている。
また、鉄にけい素を5〔%〕以下適当に加えたけい素綱は磁気的にすぐれ、抵抗率もかなり高いので交流磁界の作用する磁心材料として非常に適している。
これには JISC2552-86-無方向性電磁綱帯
JISC2553-86-方向性けい素綱帯
等があり、電気機器に広く使用されている。また、以上のほか
JISC2555-92-磁極用綱板及び綱帯
等がある。
8・5・3 永久磁石材料
永久磁石材料は外部からの起磁力を取り除いても着磁した状態を極めて長時間持続することのできる材料である。したがって、残留磁気と保磁力が大きいので磁心材料とはむしろ反対の性質で著しいヒステリシス現象を表す材料といえる。これにも種々の種類がある。