日本財団 図書館


【理解のために】

 

I. 熱傷の程度を決めるポイント

やけどをしたとき、重症か否かを決めるポイントは、その「広さ」と「深さ」の2つである。

(1) [深さ]

 

083-1.gif

 

(2) [広さ]

1]「9の法則」で受傷面積を推定する。

頭部 9%;上肢(左上肢) 9%、(右上肢) 9%;躯幹(前面) 18%、(後面) 18%;

下肢(左下肢) 18%、(右下肢) 18%;陰部 1%

2]手掌法

手掌が体表面の1%に相当するということで、小範囲の受傷によく用いられる。

 

II. 熱傷の手当(応用編(3)63頁※92P参照)

十分に冷した後は、ソフラチュール・ガーゼを、または刺激の少ない、できればステロイド剤の含まれた軟膏を、清潔なガーゼにたっぷりのばして患部にあて、熱傷部を保護する。この際、やけどによってできた水疱とかむけた皮膚は、破いたり取り除いたりせずに、そのままにしておくことである。感染の予防に抗生物質を与えておくことが望ましい。やけどをすると、血液中の水分が血管の外に出て、循環血液量が減り、血圧は下がる。これがやけどのあとのショック症状である。やけど面積が広い場合は、「ショック体位」をとらせる。意識がはっきりしていて、吐き気もなく、医療機関まで長くかかるようであれば、水分(粉末ポカリスエットやソリターT顆粒3号、あるいはスポーツドリンクなど)を少量ずつ頻回に与える。

 

III. 化学熱傷

酸による熱傷は、深部の傷害は比較的少ないが、いつまでも痛みが強い。アルカリによる熱傷は、湿潤性でぬめりがあり、傷は深く、痛みは激しく持続する。組織内に化学物質が残っている限り、組織の傷害を拡大するので、十分に洗い落とすことが大切である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION