(5) 測定方法
1] 頭部傾斜角度
被験者をプラットフォームに両足を揃えて立たせた(ロンベルグ足位)。被験者の背面正中線上の頭部、頸部、腰部、下肢に身体にLEDマーカーを着けた。刺激負荷直前から負荷直後までの被験者の状態をビデオカメラで記録した。その画像上でのLEDマーカーの位置関係を三次元画像解析装置にて測定した。
2] 自己傾斜感覚
被験者に閉眼で傾斜刺激を高速で3回負荷して記憶させた。すなわち、プラットフォームのpitch方向の動き7.5°を記憶させて、その時の傾斜感覚を基準の感覚とした。
以上の条件で、傾斜刺激と視野刺激の速度と方向の組み合わせを変えた刺激パターンをアットランダムに被験者に負荷した。刺激負荷直後に自己傾斜感を聴取し、記憶した基準の感覚との比較をさせて4段階に設定したスコア(表1)に分類し、記録した。
傾斜刺激は、どの刺激パターンでも同一すなわち、pitch方向で7.5°のみの動きとした。このことは被験者には知らせなかった。したがって1以外のスコアは実際の傾斜刺激と、自己の傾斜感覚とに認識誤差が生じたと解釈できる。
各条件における被験者全員の自己傾斜感覚スコアの平均値を算出し、各条件の値を比較検討した。平均値の差の検定には、Wilcoxsonの符号付順位和検定を用いた。
3. 結果
1) 傾斜刺激静止の時の自己傾斜感覚スコアについて(Figure 2)
傾斜刺激静止の条件でも、被験者にみえる画像が動くために被験者の自己傾斜感覚スコアの平均値は0すなわち、台が静止という答えにはならなかった。