さらに、今回錯覚・誤認対策として、ランダムドットの映像上の中心に直径30cmの赤色円を一つ映像に重ねて提示したものを「固視点」(Figure 1)とした。また実写映像上1杯に重力方向線およびそれに直行する水平線を「基準線」として設置した。
視野刺激の方向はpitch方向の上方あるいは下方とした。すなわち傾斜台が静止の時の平行な面からの水平位置から上、あるいは、水平位置から下、のいずれかの方向へ動かした(Figure 2)。
視野刺激の速度は低速0.3°/秒(7.5°/25秒、等速度)、あるいは高速1.5°/秒(7.5°/5秒、等速度)のいずれかで動かした。
(4) 傾斜刺激の方法
傾斜刺激装置は被験者の立つプラットフォームとそのプラットフォームを動かす装置から構成された。映像と傾斜台をコンピュータワークステーションにより連動して傾斜させた。被験者の安全を守るためにプラットフォームには防護柵を取り付けた。
傾斜刺激の方向:被験者の立つ傾斜台は水平位静止からpitch方向に動く。すなわち、被験者の立つプラットフォームの面が水平位置から重力軸方向へ7.5度下向きに前傾する。傾斜刺激の方向は下向きのみである。
今回の実験では、pitch方向に7.5°の傾きを被験者に与えたが、この角度を10°にまでにすると転倒する被験者がいた。したがって設定した傾斜刺激は被験者に対して傾斜感覚を引き起こすのに安全で十分な刺激条件であったと考える。
傾斜刺激の速度は、pitch方向に対して視野刺激と同期した速度、すなわち、低速0.3°/秒(7.5°/25秒)、高速1.5°/秒(7.5°/5秒)のいずれかで傾斜した(Figure 2)。