PTWは頻発しない限りは脳波総合判定には反映させないこととした。さらに突発波とその関連についても検討した。
PTWは脳波成熟過程を考える上では重要な指標の一つであるため、前回と同様に入試時PTW非出現群[A群;123名]、入試時PTW出現群[B群;53名]に分類し、今回はさらに詳細に関連を検討するために、A群を入試時・卒業後ともにPTWが出現してない群[a群;113名]と入試時にPTWを認めなかったが卒業後に出現した群[a'群;10名]に分け、B群を入試時にPTWを認め卒業後に消失した群[b群;26名]と入試時、卒業後ともにPTWを認めた群[b'群;27名]に分類しその特徴について検討した。
統計学的には、同一群内の縦断的変化の比較に関しては周波数・振幅はpaired-t検定を用い、分布についてはWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。2群間の比較に関しては周波数・振幅はtwo sample t検定を用い、分布はMann-Whitney U検定を用いた。多群間の比較に関しては周波数・振幅は一元配置分散分析を行い、有意差を認めた要因についてはpost hock testとしてScheffeの多重比較を行った。分布はKruskal-Wallis H検定を行った。
III. 結果
1. 脳波総合判定
入試時の脳波総合判定では、176名中20名(11.4%)が境界と判定され、それ以外は全員正常であった。卒業後ではこれら20名のうち5名は境界のままであったが、他の15名は正常となり、卒業後は176名中161名(91.5%)が正常と判定された。
一方、入試時正常と判定された者のうち10名が卒業後に境界となった。うち6名は基礎律動の異常が“境界”と判定された判定理由であったが傾眠など生理的覚醒度との関係は否定できなかった。突発波の出現した3名中2名はPTWを伴うものであった。