高血圧患者の左室肥大パターンでの分布は図5に示すごとくで、Nomal limi群─5名・Concentric remodering群─3名・Eccentric hypertrophy群─15名・Cncentric hypertrophy─17名であった。4群での尿中△mAlbの量を比較検討するとCncentric hypertrophy>Eccentric hypertrophy>Concentric remodering=Nomal limitの順で多かった(図6左)。次にTMETでのECG陽性頻度を上記4群で比較検討したが(図6右)、一定の関連性を認めなかった。
(4) △mAlbと尿細管性蛋白尿(β2MG排泄量・NAG排泄量)およびCCrの関連性について検討した。負荷による糸球体性蛋白尿(mAlb)と糸球体濾過率の増加量(△CCr)との間には有意な相関を認めなかった。また同様に糸球体性蛋白尿増加量と尿細管性蛋白尿β2MG・NAG増加量との間には関連性がなかった。さらに循環調節ペプチドの変動との関連性について検討した。△mAlbはBNPの運動負荷による変動△BNPと有意な正の相関を示したが、preBNP濃度とは関連性を示さなかった(図7)。さらにANP・血漿レニン活性・アルドステロン濃度・カテコラミン濃度など他の循環調節ペプチドの変化量と尿中mAlb動態は関連性を示さなかった。
(5) 降圧療法の必要な高血圧患者について尿中mAlb動態およびLVMIおけるACEIとCa拮抗薬による治療の効果について検討した(表1)。Ca拮抗剤群およびACEI投与群は有意な降圧効果認められたが、尿中mAlb動態およびLVMIには有意な変化をもたらさなっかたが、ACEI投与群でLVMI減少傾向がみられた。
4. 考案
軽症高血圧症患者において好気的運動により降圧効果が期待できることは、これまでの多くの臨床研究より明らかとなっており、これらの患者の非薬物療法の一つとして推奨されている。その適応に際しては、個々の患者の種々臓器障害および心血管系合併症の程度を評価して行われるべきである。