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断層法Mモード法により左室拡張期末期径(Dd)、収縮末期径(Ds)、駆出率(EF)、駆出時間(ET)、平均左室円周短縮速度(meanVcf=((Dd-Ds)/Dd)・ET)、左室流出路(LVOT)を計測(図1)。パルスドプラー法を用いて拡張能の指標である左室流入血流速度波形のE波とA波の比(E/A)、Eの減速時間(DCT)を計測した(図2)。また、左室流出路では断層法による断面積とパルスドプラー法による血流速度積分値を乗じて一回拍出量(SV)、さらに、心拍数を乗じて心拍出量(CO)を求めた(図3)。頸動脈の測定は右総頸動脈中央部にてカラードプラ法を併用して行った。すなわち、血管径(VD)の計測はカラードプラモードで表示された部位の内腔径を用い、血流量(FV)は心拍出量と同様にパルスドプラー法による血流速度積分値、心拍数を乗じて求めた(図4)。減圧方法は航空自衛隊航空医学実験隊の低圧実験装置を使用し、室内気圧を5分で0.69気圧(高度3000m相応)に下げ、15分間維持した後、同速度で加圧し大気圧に戻した。また、ハンドグリップ負荷の施行時期は減圧前5分、減圧後15分に各3分間施行した。尚、本研究は航空自衛隊航空医学実験隊との共同研究としておこなったものである。

3. 結果

3-1. 運動負荷時の心血行動態、脳血流(図567891011)

収縮期血圧と心拍数は絶食時、食後とも運動負荷により増加したが、酸素飽和度は明らかな変化を示さなかった。また、大気圧(地上)と10000feetとの間では血圧の増加が後者で大きい傾向を示したが明らかな差は認められなかった(図51011)。駆出率と平均左室円周短縮速度は運動負荷によりいずれも低下したが、10000feetでの低下は地上より大きい傾向を示した(図6)。一回拍出量は地上では負荷により低下したが、10000feetでは反対に有意な増加を示した。一方、心拍出量は地上、10000feetとも増加し、その変化量は10000feetで明らかに大きかった(図7)。

 

 

 

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