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これらの加齢変化として、特に青錐体系反応の加齢に伴う変化が著しいことが知られており、昨年(平成9年度)の検討においても、静的量的視野において青錐体系感度の加齢変化が著しいことが確認された。青錐体系反応の障害時には、色覚異常の型は第3異常のパターンを示すことが知られている9)。Moreland等色は、この第3色覚異常の検出を目的としているが、その測定条件は、水晶体や黄斑色素の影響が少なくなるように設定されている。今回我々は、加齢に伴ってMoreland等色値がどのように変化するかを検討するために、23歳〜74歳の42例61眼に対して、All-Colour-Anomalosoope IF2を用いてMoreland等色の中央値と等色幅を測定した。等色値の中央値は、青錐体に含まれる光感受性蛋白(視物質)の光を吸収する効率が低下していることを表している。一方、等色幅は、色識別能が低下するほど拡大することから、色識別能を表す指標となるものである。

Moreland等色測定の結果、中央値は加齢に伴って短波長(青色)側に移行する傾向がみられたが、個人差も大きく統計学的には有意な差は認められなかった。本等色において加齢変化が検出されなかった一要因として、Moreland等色が水晶体や黄斑色素の影響が少なくなるように設定されていることが考えられた。また、等色幅についても、加齢に伴って拡大する傾向が認められたが、個人差が大きく明らかな加齢変化は示されなかった。しかし、青錐体系反応は加齢変化を受けやすいため、今後、等色法については更に検討していきたい。

2. コントラスト感度

視力とは物の形を見分ける能力と定義され、形態覚の一評価法として位置付けられている。臨床的には、白地に黒の高コントラスト視標、原則としてランドルト環が用いられ、形態覚評価法の一要素である最小分離閾値が測定されている。今回、採用したコントラスト感度は、縞模様の明暗(コントラスト)とその間隔(空間周波数)を変化させながら、各周波数ごとにコントラスト感度を測定する検査法3-5)である。

 

 

 

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