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今回の対象事例数はまだきわめてわずかであり、さらなる研究を今後の重要な課題としていきたい。

 

4. 児童養護施設の役割

 

半世紀前の児童福祉法制定以来最も大きな変革とされた改正内容は、1998年4月から施行されることとなった。社会的養護においてきわめて重要な位置を占めてきた養護施設は、児童養護施設と改称されると共に、その目的として「自立」を支援する役割が加えられた。社会的養護における「保護」と共に「自立」をという指向、ひいては「保護」から「自立」へという指向は、いよいよ本格的な歩みを開始する。

児童養護施設の新たな役割を含め、里親家庭から施設へ措置変更された児童の養護について、今回の結果が示唆するものをあらためて確認したい。

今回の事例調査を通じ、やや明らかになったことは、措置変更によって入所した児童への指導上の留意点として、「心の安定」の割合の高さが際だっていること、そしてわずか1例を除き今後保護者のもとへの復帰の見通しが立たず、全体の8割が「自立まで現在の養護施設で養育」という方針であり、しかも年齢が低くともそのような見通しがなされる児童が多かったことである。

 

 

 

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