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また複数回里親へ委託された事例は、言うまでもなく委託された時の年齢も委託期間も広く分布していた。しかし、最も少ないパターンである実家庭から直接里親へ委託された5例には、際だった特徴がみられた。委託時の年齢は、5例中4名が13歳以上で、しかもすべて女児という特徴がみられる。また委託期間は、3例が6ヶ月未満であった。

今回調査した事例では、対象児童が幼児から青年期にまで幅があるのに対し、その養護問題発生時の年齢は乳幼児期が9割という対比がみられることは、既にみてきたところであるが、高齢時期に実家庭から直接里親へ委託された場合、その後きわめて早い時期に施設に措置変更されていることは、注目する必要がある。

最近の研究では、東京都の養育家庭制度に関する実証的研究をすすめた桜井は、養育家庭(里親)からの措置変更の背景のひとつとして、思春期のケアの問題点を指摘している(参考文献7)。況や、思春期以降に里親家庭に委託された場合に生じ得る児童の側の里親家庭への適応の難しさ、里親の側の児童の行動理解の難しさを思うとき、上述した家庭養育経験の少なさがもたらす里親養育上の難しさと共に、この面でのケアのあり方をさらに検討していく必要がある。

 

 

 

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