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施設に措置変更されるケースと、家庭復帰ケースのポイントとがほぼ同様であったこと、里親への委託効果が上がった場合は、養子縁組へ、また効果があまりみられない場合は措置変更へ、という図式は、この調査においても正に立証された結果となっている。

この点で、両調査から指摘される共通の課題があると思われる。それは、先ず児童福祉の観点からの里親制度の運営の要である児童相談所のきめ細かなケースワーク、フォローアップを伴う協働体制の強化である。そして、第二に、里親としての資質、備えるべき専門性や適性の向上による里親制度の基盤の安定である。

 

3. 里親委託への経路

 

35事例の実家庭から直近の里親家庭に委託されるまでの経路は、3つのパターンに分かれ、「実家庭から施設を経て里親へ」が約3分の2に及び、「複数回里親へ」が2割、そして「実家庭から直接里親へ」が約14%という割合であった。施設を経て里親へ委託された事例は、その殆どが6歳未満という年少時期であり、委託されていた期間は3年未満という事例が4割を超えてはいるが、しかし3〜12年まで広く分布していた。

 

 

 

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