日本財団 図書館


VII. 考察

 

1. 事例調査にみる里親委託の特徴

 

今回の調査では、里親制度の効果的運用が十分になされていない背景を分析する方法として、何らかの理由で里親から養護施設に措置変更された児童の事例を分析した。

今回の事例は、里親から施設への措置変更理由からも理解できるように、里親養育に何らかの効果がみられたことによって養護施設へ措置変更されたのではなく、むしろ里親による養育の継続が難しいと考えられたために、措置変更された事例が主となっている。これに該当する32例について分析したところ、その9割が乳幼児期に既に養護問題が発生していた。しかもその発生理由が、棄児、養育拒否、行方不明、養育能力欠如など、その後も比較的将来にわたって実親の養育が期待できないと考えられる割合が高かった。したがって、最初の措置先が乳児院という事例は25例に及び、その後養護施設へそして里親へ、あるいは里親へという経路を辿る事例が多い。

このことは、諸外国とくに欧米諸国と異なるわが国の特徴、つまり乳幼児期の社会的養護は必ずしも家庭的養護とならないという点を踏まえて検討しなければならない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION