本庁の国籍課を訪ねると、それに関係する膨大な申請書類にまずびっくり、更に彼の場合、学生であるため収入がないのでだめ、と言われましたが、先ず養子縁組をした後、帰化申請書を提出したらと親切にアドバイスしてもらいました。
「私達の本当の子供になる。」その事は今迄、お互いに話したことは一度もありませんでした。すべてのことを本人の意思にまかせる。これをモットーにしてきました。あらためて里子でなく、養子になる。岩山性を名乗り、私達と親子になる。そんな意昧が含まれていることを話しました。
彼は充分その事は理解していて、そうしたいと言い、三人の思いが一致して、ほんとうによかったと思ったあの日の事を忘れられません。
養子縁組の書類はわりあい簡単にでき、神奈川県小田原法務局に提出して、申請書はパスしました。しかし、帰化申請書に必要なベトナム側の、彼の両親の結婚証明書、出生証明書、肉親の同意書等、国際便で送っても、いつ到着するのかわからない頃でした。
丁度その時三角港にベトナム国籍の船が入港しているのを知り、船長に面会を申し込み書類をベトナム国内のポストに投函していただく事をお願いしました。