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彼は大丈夫だよ、今までと同じように頑張るから、と素直に答えたものでした。

入学の春休みを利用して、新車の自動二輪に乗って、8年前、漂流中に救助して下さった、石垣島の海上保安庁、沖縄本島にお礼の旅に出かけ、当時お世話して下さった方々にお会いして、いろいろその時の話しに感激して、多くの資料をいただいて帰って来ました。35?ぐらいまでやせ細った、ガリガリの体の若者の写真を見て、涙が出て仕方がありませんでした。

大学に入学した彼は、元気な電話をよくかけて来ました。私達は又元の静かな、少し淋しい生活に戻りました。が、その頃から始まった、クール宅急便の便利なシステムを利用して、彼の好きな魚料理、力レー煮等を作って4年間、送り続けました。

「ママとてもおいしかったよ。」と電話してくれ、作って送ることが私の楽しみになりました。

一年生の夏休みに帰省した彼は、日本国籍をとりたいと言い出しました。その態度は普段より真剣で、彼なりに将来のことを考えての言葉だとわかりました。

 

 

 

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