集合時刻に来ない子がいると、班の子供たちも当番の親も待たされることになるのに、その遅刻する子の筆頭がわが家のNYという訳だ。
私は、謝るしかないので「済みません。」というと「謝られても困る。もっと手を掛けてあげたらどうなんですか。」と言われ、私は言葉に詰まってしまった。と言うのも、NYは飛び切り個性的な子供で、手を掛けないでいることなど不可能な子どもだからなのだ。
ある日、助手席に乗っていたNYが、運転席の私に唐突に話しかけてきた。
「この前お兄ちゃんたちが、僕のことぶったり蹴ったりしたんだよね。」
「えっ、そうなの?」私の頭は、忙しく最近の出来事を反芻する。
「それって、いつのこと?」NYは、「ここに、あったかいもの(あたたかいもの)があって…」と身ぶり手振りで説明するのだが、「えっ、あったかいもの?」と、ますます、なぞなぞのような問答になっていく。実は、NYは、物の名前とか人の名前は、とことん覚えないたちで、そのあったかいものが、やっとストーブだとわかってみると、何と、それは半年も前の出来事。