日本財団 図書館


夫と私は、A子のここまできた振る舞いに努めて冷静に応対していこうと相談し、いつかきっと理解できるときが来るからと信じ、A子の言動がどうであれ、A子はかわいい、愛していると感じる日が来るようにと願い、過ごした。

数日後、A子はこわばった表情で帰宅した。いくら探しても給料に見合うアパートはなく、保証人が必要であることを言ってきた。仕方ないので、少し遠いけれど決めたいから、保証人になってほしいとの事。夫は、この件については、円満な話し合いの結果進めたのでない、生活設計も立てず感情の赴くまま衝動的に自己主張したことなのだから、保証人にはならないときっぱり言った。私も夫と同じ考えであると伝えた上で、肝心な保証人がいなければ進む話ではないとA子に話した。仮にアパートに住むといっても、どれ位の物が必要で、いくら費用がかかるか計算してごらんとつけ加えた。また数日後、A子はほとほと疲れた表情で「もう話にならないよ。洗濯機から布団、電気釜って書き出していったら、百万円をこえちゃった」と言ってきた。私たちは当然内心は心配しているのだが、極力表情に出さないようにして、二つに一つ、自分が選んだ道を自分の責任において歩きなさい、とA子に迫った。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION