ともに泣いてしまうことのなんと多かったことかと思う。
(7) A子の一言
A子が中3になったある日の夜、いつものように父からの激しい口調の電話がかかってきた。それまでは次女が仕方なく、こわごわ話をしてきたが、この夜A子は勢いよく「私によこして」と受話器を手にした。「パパ、A子だよ。私たちを迎えに来るなんてとんでもないよ。親の顔したいなら私たち4人の生活費、せめて一ヶ月分でもすぐに持って来たらどうだ。先生は私たちを育てるために夜も昼も一生懸命働いているんだ」と叫んだ。すると、何か言っている父に再びA子が言った。「パパのわがままはもうたくさんだ!おそろしいよ。パパの言う通りにはもうならない。今度は私たちがパパにわがままする番だ。パパはもういらない!お父さんはここにいるから。言っておくけど、子どもはいつまでも子どもじゃないよ!」。言うや否や、A子はその場に泣き崩れた。「子どもはいつまでも子どもじゃない」というA子の言葉に共感しつつ、いつあんな説得力が育ったのだろうと、私は驚いた。