後でわかったことでは、ふりかけの恩恵を受けて3年ほど経った頃には、4人の子どもたちの爪はしっかりとなった。他の者たちも健康になり、気持ちがやさしくなっていった。
(5) 父からの電話
新しい生活に慣れてくると、どの子も思い出したように以前の生活を話し出す。私共のホームは雑木林に囲まれており、皆楽しく遊ぶ。大学生であった長男が帰ってきた夕方、A子を先頭に子どもたちが走り寄り、「逃げる私たちを追いかけてくれ」と言う。ふざけ半分に長男が追いかけていたところ、「もっと早く早く」としきりに叫ぶので、なぜかと長男が問うたところ、「パパがホームに来たら逃げるんだから、その練習なんだ」と聞かされたという。長男はがっくりし、「こんなことがあっていいのか」と、涙ぐんで家に入ってきた。
それからしばらくたった冬の夜、実父からの電話で「そんなホームがあるから子どもたちは群馬に逃げてしまったんだ。これから行って灯油をかけて燃やしてしまうぞ」と、かなり興奮している。