お父さんとお母さんは、天使園という所に行ってかわいい男の子を見つけました。4歳か5歳ぐらいだったかと思います。すぐに、家に連れて来て「ここが、あなたの家よ。」と言っても、私とちがって物心ついている子どもなので、半年から一年ぐらい週末だけ連れて来て泊まらせて慣れさせる事がお互いに大切だと、お父さんとお母さんは言いながら、初めて家に連れて来ました。「京子、知也くんですよ。」と、お母さんに紹介されました。「こんにちは。」と私が言うと、「こんにちは、おねえちゃん。」と知也はとても明るく答えてくれました。知也は、来たその日から、お父さん、お母さん、お姉ちゃんと、とてもなついてくれてうれしかったです。
ただ、知也は施設に入るまで、親戚の家をたらい回しにさせられていたらしく、とてもひどい仕打ちを受けさみしい思いをして施設に入ったのです。今思うと、幼児期に精神的につらく、悲しく、さみしい思いをした子どもというのは、それが、本当の親に育てられた、育てられない、養子だ、養子ではないに関係なく、思春期に大変な思いをしてしまうのではないでしょうか。