その後K君には、後見人の選択の問題が降りかかってきました。裁判所から調査を受け、未成年者ならば後見人が必要、と通知されたのです。結局亡父の兄弟7人の中から、次男が後見人として書類に名前が上がりました。
K君は裁判所に呼ばれ、質問を受けました。
「お父さんの二番目の兄弟のことは知っていますか」「顔を見たこともありません」「だれが後見人にふさわしいと思いますか」「里親のお母さんにお願いしたいです」
K君ははっきりとそう答えたそうです。
それから半年も過ぎたころ、裁判所から私のところに、ある通知が届きました。「あなたは今回家庭裁判所で後見人に選任されました」
それからは私には、お父さんの財産管理、お墓のことなどの、大変な仕事が回ってきました。お父さんの一周忌も過ぎました。私がお寺にK君を連れていくと、彼はお墓の前で手を合わせて、父親に何か呼びかけているようでした。9月25日の自分の誕生日には、父親が自分を見てくれていると感じるのでしょうか。親子の絆の深さを感じました。