その後私のところには、再び問題児と呼ばれる子供が来ることになりました。当時中学3年生だったその女の子は知恵遅れでした。悪い友達にそそのかされ、よく万引きをしていました。
家に来て10日ぐらい経ったある日、いつの間にか家を飛び出し、2週間ほど帰りませんでした。別の女の子と二人で、万引きをしたお金でタクシーに乗って遊び回っていたというのです。帰るまでの間、気が気ではなく、一時はすべてを投げ出したくもなりましたが、子供に負けてはならないと、厳しく叱りつけました。
それからは毎日のように、学校の前で子供の帰りを待ちました。卒業するまでは、たとえ仕事を犠牲にしても子供から目を離せないな、と思ったのです。体に「根性焼き」の跡をつけられ、ボロボロの状態で帰ってきたこともありました。そのような調子で半年が過ぎ、子供が中学校を卒業すると、私は父親の元へ帰してやりました。
ところが帰っていったはずの子供は、毎日のように私の家の前に立ち、動こうとしません。