母親から受け継いだものかどうか、M君は落ち着きがなく、そしていつの間にか人のものを取ってしまうのです。子供としては欲しいものはどうしても欲しいでしょう。しかし普通は抑えることを知っていくものです。
自分の子供は普通に育ててきましたが、他人様の子供は何倍も手を掛ける覚悟が必要でした。植木鉢の花が人の手の掛けようによって、大輪の花を咲かせたりまったく咲かなかったりするように、子供の心も、里親の接し方次第で変わっていくものです。本当に大変でしたがその甲斐あって、20歳を迎え社会人となった今、M君は明るさと優しさを取り戻してくれたようです。
M君が小学校に入学した頃を振り返ってみますと、私はPTAとして参観日に出るのが楽しみでした。子供は私が来るのを学校の玄関先で待っています。私も先生の是非にという勧めもあり、どんなに忙しくても行ってあげることにしていました。子供はいつでもお母さんを待っていますし、私も教室に入ると忙しいことを忘れてしまいます。