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丁度家に来たのが秋祭りの時期だったので、一緒に連れて行ってお小遣いをあげると、お金を使いきるまでは何を話し掛けてもうわの空でとても落ち着きがありません。それから1ヶ月2千円の小遣いを渡して様子を見ていましたが、あっという問に使ってしまい、おばあちゃんのサイフから失敬した事もありました。小学校を卒業した3月に家族で旅行に行った時も5千円の小遣いを渡すと、すぐ3千円の財布を買ってしまい、友達にお土産を買うお金が無いと家では見せた事も無い表情でふくれていました。普段買う物、我慢してお年玉で買う物、サンタさんに貰う物、一つ一つ考えて、一緒にお金を使う勉強をしました。サンタさんと言えば家に来て最初のクリスマスに、その当時流行っていた電子手帳を夜、そっと部屋に置いておきました。朝、K男がプレゼントを抱えているのを見てあわてて部屋へ行き、大喜びで階段をかけ降りてきて泣いていました。生まれて初めてのクリスマスプレゼントだったようです。

そして高校1年の夏休みに、親戚の農家に泊りがけで1週間アルバイトに行き、生れて初めて働いてお金をもらい「家がやっぱり一番いい。」と帰って来ました。そこでは赤ちゃんからお爺さんまで8人家族の生活の様子を見て来ました。皆で助け合って働いているのを体験して来たので、ちょっと大人になった様でした。

 

 

 

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