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里母さんから子どもが異常な食欲をみせ、また里親の目を盗んでおやつや冷蔵庫のものを盗み喰いする。おもちゃや本をTVや本箱のうしろに隠してしまう。おもらしをする、叱るとだまりこくって上目つかいでみるなどの話しがありました。しばらくすると里母さん自身が疲れ果ててしまい、また実子もストレスから抜毛などがみられる、このままでは、家族共倒れになってしまうので返したいとの相談がありました。

現状での委託を続けることは困難と判断し、A子さんを一時保護所に預かりました。一時保護所では、A子さんは普通に生活し、食欲も異常という程ではありません。A子さんの行動は家庭養護促進協会の岩崎先生の話しにもあるとおり、委託直後にみられる里子の一般的な試し行動といわれるものです。施設の集団の中で身についていた生活習慣のおかげで身のまわりのことはひとりでできる手のかからない子だったのが、その家庭の子どもとして本当に受け入れてもらえるのか、いたずらっこの僕でも甘えん坊の私でも、このうちの子どもになれるのかまるで試しているかのように、いろいろな問題行動を起します。親子のきずなを築くために、体は大きくなっていても、その家庭での赤ちゃんからの育ちをやりなおしながら再体験しながら子どもはその家庭が安全で信頼できる場所であるということを実感し自信をつけ人への信頼感を培っていくと言われています。

 

 

 

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