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ですから3歳児神話、母性神話というのは本当に強かったです。人口問題審議会では、本当にそれをもう少しちゃんと見直していこうという事を入れる事ができたんですね。

私自身は「母親は0歳から働いた方がよい」、積極的にそれを推奨している一人ではありません。むしろ育児休業とか、本当に先程申し上げました心理的親になる事の意味が大切です。ただ一番必要な事は、親が働いている、働いていないのに関係ないその子供にとっての心理的親の存在という事を、しっかりと受け止めなくてはいけない訳です。

どちらかというと、日中母親がいないからこれでもう駄目等というのは、今殆んど科学的根拠はありません。「量より質・氏より育ち」、そういう感じですね。特にお母さんが働いている、働いていないという事で、子供が極端に違いがあるかという事は以前は結構言われていたんですが、私達は相当以前からそこをアプローチしてきまして、本当にそれは云えないのではないかという事を実証してきました。

その人口問題審議会の意見を受けてという事になるんでしょうか、平成10年版厚生白書が、そこまで踏み込みました。政策の報告書である白書が、こういう価値感まで踏み込んだというのは、異例な事でして、結論から申し上げますと、厚生白書はこういうふうな表現をしています「少くても母性神話や3歳児神話には科学的根拠はない」と表現しました。

これは相当ないろんな反響を呼びまして、今でもそのあたりがまだ議論が続いています。それよりも何よりもそういう状況にある時の子供達はどうなるのかという事を考えますと、少子社会の中で、実の親だけにあまりにも責任を負わせている。この状況をしっかり見直した方がいいという事が大切なんですね。母性神話、3歳児神話もそうです。そうしますと改めて先程触れましたような実の親、生みの親プラス社会の親ですね。その存在が改めて浮かんでくる訳です。

IIIの所に、「子ども家庭福祉と子育て支援」という項目がありまして、ここに4つレジメで項目を挙げています。この言葉だけ読みますと、なんとまあ固苦しい、眠りを誘うか。第一条第二条というと背中がむずがゆくなってこういうのもう聞きたくないわとおっしゃる方もおられるかと思いますが、ここで申し上げたい事はこういう事なんですね。

御承知のように、児童福祉法が昨年4月から50年ぶりに大改正になった形で、いよいよ実施に移されました。50年ぶりといいますが、約半世紀以上前に児童福祉法は世界的にもすばらしい理念を打ち出していました。これは特に第一条なんですね。ちょっと、こっくりしないでその分だけ聞いて下さい。

「すべて国民は、児童が健やかに生まれ、且つ、育成されるように努めなければならない」これが児童福祉法第一条、皆さん結構読んでおられるかと思いますが、この意義の深さというのは、本当に味わえば味わう程という位すごい内容なんですね。これがすでに日本では半世紀以上前にできていまして、世界でみてもあまりにも珍らしい考え方だった訳です。遥か理想に近いといっていいでしょう。全て国民、つまり私達特に大人ですね、私達が一人一人の子供を健やかに生んで育てる責任があるんですよという事を明記した訳ですね。

子供を育てるのは誰ですか?親に決っているじゃないですかという事ではないという事ですね。もし親に決っていても親というのは誰かというと、先程最初に申し上げましたような育ての親、つまり社会的な親とか心理的な親となる人を含んでいる訳です。実の親以外に、例えば里親は、典型的な社会的な親なんですね。実の親、特に身内の人をどこまでを含むかはともかく、制度上の現代版典型的な社会的親は里親です。

 

 

 

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