御承知のように、これから100年後を見ますと、どのような推計からいっても一番ピーク時の2007年頃には、日本の人口が約一億三千数百万人でピークになって、後はどんどん右肩上り、これがいわゆる高齢化・少子化の到来という事になりますが、どんどん老齢人口の割合が増えていく事が予想されていまして、大体100年後はピーク時の半分迄に日本の人口が減るだろうと、これはほぼ間違いなく推測される状況になっています。
こんなに子供が減ってしまって、それに対していろんな対策が、平成に入って序々に序々に進みまして、ここ数年間どこを見ても何か少子高齢化社会という枕言葉で出てきていますから、子育て支援というのは必ずその時の重要な目玉になっている訳ですね。つまり子供が減れば減る程、やっと子供に対する関心が高まって来た。多くの20代、30代、さらには40代の未婚の人達を色々見てみますと、或は意見を聞きますと結婚したくない人は少ないんですが、この状況だったら結婚を手控えましょうという人達がどんどん増えていますから未婚の割合はずーっと高くなっています。
つまり、結婚する事への魅力とか子供を生み育てる事の魅力という事がない限りは、なかなか踏ん切らないという時代になってきました。このままいくとどうなるのだろうという心配が、「子どもを健やかに生み育てる環境づくり」という事で、色々出始めている訳ですね。その重要な柱が子育て支援になります。何故それが結びつくのか、恐らく皆様方は、例えば里親・里子という関係だけで見ると見えにくい部分もあるかと思いますが、少しその背景をお話して皆様方のいろんな日頃の里親関係の部分と関連する事を少し見ていきたいと思います。
今一番子育て支援が必要なのは、大きくは二つあるんですね。一つは「男は仕事、女は家庭」というパラダイムという社会的な価値観がどんどん変化していく中で、働きたいけれど働けないという状況、或は働き続けたいんだけれども子供が生まれたら働けないという女性のニーズをしっかり受け止めていこう。これが子育て支援の重要な柱の一つですから、大きなウエイトとしては、保育サービスをどう展開するかという事が出てきます。
後でふれますように、この保育サービスも、これからの里親の様々な事業とか制度とか、私は間違いなく関連性が強くなってくると思います。これは後でふれたいと思います。
もう一つの大きな関連性は、今、子供を生み育てる事が大変だといわれている背景には、子育てはお金もかかるといういろんな経済的な要素もありますが、精神的、心理的な背景からいいますと、子供を生み育てる事の不安とか、孤立感が若いお母さん方或はお父さん方に拡がっているんですね。その背景は時間がかかりますので省略しますが、それをよく見ていきますと、むしろ専業主婦のお母さん方にそれはより高く見られます。
具体的に言いますと、四半世紀位前が一番ピークだったでしょうか、昭和40年代から50年代にかけて丁度日本の高度経済成長が一気に見えてきた頃、何が家族生活の理想かというと、夫は名のある企業にサラリーマンとして就職している。そして、朝子供と一緒に奥さんがいってらっしゃいといって送り出す。ちょっと小さな庭には芝生があったり、或はマンションやそういう所で「ああ、これが我家だ」と思うようなホームがあって、日中いそいそと家事、育児に勤しんで、夜になると「お帰りなさい」という風景ですね。これがある意味では男は仕事、女は家庭を地でいく理想的な姿だった訳です。
ところがだんだん状況が違ってきまして、女性もどんどん高学歴になり就職率も高まっていく中で、或は専業主婦が理想として描いた程お父さんが稼ぎが少いとか、夕方帰ってきて家族皆なで団欒して夕食を取る、そんな事が殆んどなくて日曜日も付き合いだとか言って行ってしまう。どうも日本独特の企業家族的な部分とか、或は家族や地域がないがしろにされたり、お父さん方にとって価値からずれしまう方向が拡がっていった。