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III 社会的養護による家庭的ケアを受ける里子の自立援助あり方

 

1 主旨

里親家庭において、思春期以降の里子との家族関係はさまざまにゆれ動く難しい時期にあり、里子にハンディキャップがある場合は一層自立への支援は難しい。

このため、里子の高年齢化に対応し、また自立するまでの援助を強化する。

 

2 主要な方策

<1> 他の児童福祉施設と同様に、措置(委託)期間を20歳になるまで延長する。

<2> 自立援助にかかわる他の社会資源(自立生活援助事業・ホーム、福祉作業所等々)との連携やネットワーク化を促進する。

<3> 里子の組織化を図り、相互の自立援助が可能なネットワークづくりを奨励する。

<4> 里子の経済的自立を援助し、里親家庭が里子に対して行う各種の自立支援活動を財政的に援助するための里親基金、里子に対する補償制度等の創設を検討する。

 

IV 里子の交流・連携の促進及び権利擁護のあり方

 

1 主旨

これまであまり重視されてこなかった里子同士の交流や連携活動を支え、奨励していくことに努める。また、里子がひとりの人間として尊重され、里子へのケアが子どもの権利や最善の利益を十分に配慮したものであるように常に配慮する。

 

2 主要な方策

<1> 里子の思いや心境を伝えあい、共感したり励ましあう機会を大切にする環境づくりを意図していく。里子同士が自主的に組織づくりを考慮している場合などには、それを適切に支持し、奨励することに努める。

<2> 里親が、子どもの権利の重要性を常に深く認識し、里子の最善の利益を尊重したケアが図られるように、研修や読本を通じて普及する。また、里子に対して、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」など、子どもの権利に関する知識や理解を深めることができるよう、読本などを通じて普及する。

<3> 社会福祉において今日重視されている苦情処理やケアの質の評価などについて、里親の知識や理解を深め、実際にも対応できるような体制を図るように努める。

 

3 課題

<1> これらをすすめていく上で、里子が信頼し安心して行動がともにできる里親や児童相談所のソーシャルワーカーなどの存在が欠かせない。また、里子の交流、連携、組織活動などを支え、調整できる人や組織などを民間レベルで育成確保することが必要である。

<2> 里子の組織化にあたっては、里親と里子との関係の特質、つまり、家庭における親と子の関係と共通するものが多くみられることに配慮し、里親や里子に利益やメリットをもたらさないような組織化は避けるべきである。

<3> 委託にあたっては、里子となる児童に対する十分な説明や生活の手引き、権利ノートなどの配布を考慮するとともに、委託後は里子のケアに関する苦情処理や評価など、里子の権利擁護を図ることのできる第三者機関の設置やその機能について検討する必要がある。

 

V 全国里親会等による里親事業推進のあり方

 

1 主旨

今日及び将来を見据えた里親事業をすすめるために、里親会及び関係諸団体の役割や協力について、新たな視点から推進していく。

 

2 主要な方策

<1> 里親事業に関する全国的、地域的諸情報を里親会及び関係諸機関・団体が積極的に提供する体制を整備する。インターネットにおけるホームページの開設は、早急に実現すべきである。

 

 

 

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