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とくに第二の機能については、従来の里親をベースにして種類を拡大するか、新しいタイプの里親を設けて拡大していくか、あるいはその双方を考慮するかについて、検討する必要がある。

<2> とくに重要なことは、その専門性、ボランティア性をどのように配慮し、位置づけるかである。これまでの「認定」とともに「資格」をという方向、あるいは「認定」から「資格」へという方向を本格的に検討する(必要がある。この場合の「資格」は、例えば全国レベルの研修修了者に証明書を交付するなどが考えられる。

<3> 里親の種類や役割機能に対応した手当や給付(月単位、週単位、日単位、時間単位等の手当、給付)のあり方について検討し、経済的側面の強化を同時に図る必要がある。

<4> 子育て支援体系においては、これらを総合的に調整する機関、人材を整備充足すること、並びにこれを支える地方自治体、関係機関、団体、施設との連携が必要であるとともに、子育て支援のケアに関する里親の研修が必要である。

 

II 里親制度及び里親委託のあり方

 

1 主旨

前記の観点から、今後の里親制度及び里親委託の体系については、里親家庭への多様なケアの委託という見地に立つものとする。つまり、児童相談所の措置による里親委託システムに限らず、多種多様な里親による家庭的ケアの体系へと拡大するシステムを検討することが望まれる。

このためには、制度及び委託を円滑にすすめるための行政機関、関係諸機関・団体・施設の積極的な連携が不可欠であり、また里親としての専門性を深めるとともに、広汎なニーズに対応するボランティア性の豊かな里親の確保を図ることが重要である。

 

2 委託の体系

<1> 措置による委託体系

社会的養護を必要とする子どもに関しては、公的責任、権限によって、児童相談所が、里親に家庭的ケアを委託する。長期里親、短期里親、専門里親、親族里親(キンシップ里親)、ファミリー里親などへの委託が主となる。

なおこの場合、委託の主体は児童相談所であるが、里親推進事業に関してきわめてを高い実績を持つ民間家庭養育機関等の組織と連携・協力を密にし、里親への委託の実施を委任する方向についても検討する必要がある。

<2> 子育て支援による委託体系

今日及び将来とくに求められる子育て支援の重要な資源として、他の児童福祉施設等々と同様に、里親がその役割機能を果たすように努める。一時里親、ショートステイ里親、保育里親などへの委託が主となる。

この場合、委託の主体は児童相談所に限らない。子育て支援にかかわる多種の実施主体、例えば市区町村、児童養護施設、児童家庭支援センター、地域子育て支援センター、民間家庭養育機関等の組織などがあげられる。

 

3 課題

<1> 措置による委託体系においては、児童相談所が里親に積極的に委託する体制、環境を整備充実することがきわめて重要である一方、里親側においてこれに十分に応え得る専門性と対応の柔軟性を確保し、常に即応し得る資質の研鑚、向上を図ることが必要である。

さらに、現行の児童相談所による行政権限に基づく委託方式についても、利用者の意向尊重の観点から、その再検討が求められる。

<2> 子育て支援による委託体系においては、子育て支援の意義、主旨を十分理解し、とくに各地方里親会が、日頃各地域において展開されている子育て支援事業や活動と連携、協力を行なうことが不可欠となる。また、この委託方式が利用しやすいシステムとなることが求められる。

 

 

 

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