◎親族への挨拶◎
日が暮れた頃、二人の最初の共同作業が始まる。中庭の祭壇の前で、親族に挨拶をするのだ。手順は、昼間新郎が花嫁の実家でおこなったのとほぼ同様である。新郎が苦労したように、今度は迎え入れられる新婦が意地悪される番だ。年長の夫婦から順番に、何度も何度も礼をくり返し、御祝儀をもらっていく。総関がこれをうけとり、紅い紙に名前と金額を書き入れていく。御祝儀の額は、二十元から五十元のあいだだ。さて、新郎の父母は最後から二番目、父親は髪をピンクのリボンで結んで、道化のように、おどけた様子をしなければならない。そして、最後は兄夫妻の番だ。彼らは、紅いひもでつなぎあわせた二本の葱を新郎新婦の首へかけてやる。こうして、花嫁は笑い声と音楽の響く中、H家の嫁として迎え入れられた。そして、祭壇から反時計回りに礼をして、儀式は終了する。(図26])
◎新郎新婦の初めての食事◎
前日の晩からおこなわれている祝宴に新郎新婦は参加していない。それだけでなく、ほとんど食事をとっていない。親族への挨拶がすんで、みなが隣の中庭で宴会を始めると、新郎新婦の初めての食事が、多分に儀礼的な様子で始められる。彼らの席は正房の中央の部屋にしつらえられた丸テーブル。