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これが彼らの三種の神器なのである。と同時にこれらは「水牛供犠」の儀式に欠かせないものなのである。

この水牛供犠はかつては雨乞い、疫病退散、戦勝祈願、また、ゾンと呼ばれる集会所などの新築や屋根の吹き替えなど村落共同体の集団でも行なわれきた。この儀式はグン・テ・ボン・パオ(ザライ語=マレイ語系)コー・サ・コポ(バナ語=モンクメール語系)と呼ばれ、直訳すると「水牛を食べる」「水牛を神様と食べる」あるいは「水牛を殺す」となる。日本語にするとなんとも風情のない呼び名だが、現地の人たちにとっては「水牛を食べる」「水牛を殺す」といっただけで、私たちが感じ得ない、容易ならない儀式の性格を感じ取っているのである。

 

◎死と再生のシンボル◎

 

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クバン県の水牛供犠の際に舞われるゴング

 

さて、クバン県で最初に見た「水牛供犠」は解放後初めてということもあって、大変盛大なものだった。しかも戦勝祝いの儀式で貴重な経験となった。

式は三日前から準備にとりかかり、山から切り出されたブランと呼ばれる生木の柱を、村中の司祭が呪文を唱えながら香で清めることから始まる。部外者の私たちからすると、気を引かれるのは、神秘的装飾が施された、犠牲の水牛を繋ぐ供犠柱の方だが、実はその中心に立てられるブランこそが、いわゆる御神木なのである。この「供犠柱」は儀式の後、拠り代の部分は朽ち果て、中心のブランはやがて芽を出し再生するのである。その意味ではいろいろな国で登場する柱の項上に葉のついた枝が飾られているのは、元々は再生を意味したものではないのだろうか。

二日目はゾンでの祈りの儀式、そして犠牲にする水牛を死者の森の方向に連れ出し祖霊に祈る儀式と続き、三日目に儀式はクライマックスを迎える。この日は各家族から酒壺が持ち寄られ、参加者に盛大に振舞われる。

 

 

 

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