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(2) 国と自治体の登録の違い

そのような動きの中で、平成8年(1996)に国の登録制度が発足した。現状では、国の登録制度と自治体独自の登録制度の明確な使い分けはなされていないが、自治体側で独自に行っているところは、国の制度に比べ、優遇措置が整っていることもあり、自治体独自の制度は補助金などのメニューがそろっているところが多い。

また、景観条例に関する条例による場合は、歴史的建造物のよく残っている地区を核として、その周囲の景観形成を促しているものもあり、歴史的建造物の位置づけも異なり、視点を異にするものもある。

 

(3) 文化財登録の進め方

国の文化財登録は、平成8年10月に発足した、わずか3年たらずの制度である。登録できるのは、建築後50年以上経過したもので、そういう意味では、今回建築調査の対象となった明治から昭和戦前までの建物も対象となる。また、土木構築物も対象となるので、石垣・石塀も登録することができるので、大村では今回の調査成果をもとに、かなりの数が登録できるのではないかと考えられる。ぜひ、登録を進めて欲しい。

登録の際には、所有者の同意が必要だが、写真などの簡単な申請書を、地方自治体の教育委員会から国へ提出し、文化財保護審議委員が審査することとなっている。指定文化財のように、修理や防災などの保存工事のために大きな補助金はないが、設計管理費の補助や低利融資、地価税などの税制優遇措置がある。外観の改変の際には、届け出が必要だが、内部の改装はゆるやかであり、ゆるやかな制度といえるだろう。

登録されると、登録文化財のプレートが交付され、所有者のプライドを鼓舞することもできる。

また、前項でも述べたように、大村市独自の登録制度を設けてもいいだろう。石垣・石塀をはじめとする石像の遺産など、さまざまな文化財がある大村市では、ユニークな文化財登録制度が創造できるのではないかと考えられる。

 

 

 

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