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(2) 海域に関する地域住民の生活と意識

1. 漁業の動向

二丈町には福吉と深江に漁業協同組合が存在し、沿岸漁業を主体として漁業が行われている。しかし近年は、経営体数の減少、経営内容の悪化という状況が続いている。これは、沿岸域での資源の減少、輸入水産物の増大による魚価の低迷、漁業従事者の減少と高齢化などが主要な要因であると考えられる。さらに規制緩和や金融改革による経営の難化、国連海洋法条約の発効のより、資源の有効利用に視点を置く漁獲可能量の制限などの問題がある。近年の傾向としては資源管理型漁業として、人工漁礁設置の拡大や、栽培漁業として種苗の育成、放流に力を入れている。

 

1] 漁業活動内容

年間の漁業活動としては、2〜4月はいかかご漁法が主体となり、甲イカなどを水揚げする。そして5〜12月は吾智網漁法が主体となり、タイなど魚類の水揚げを行う。11月から冬場に行うものとしてはあぐり網漁法や本釣り漁法が主体となり、サワラやコノシロ、カタクチイワシ、キスなどが水揚げされる。その他に水揚げされる種としては、ヒラメ、ヤリイカ、エソ、サヨリなどや瀬もの、貝類、ワカメ、メ株、クキなどがある。

また栽培漁業の具体的な内容としては、(財)福岡県栽培漁業公社の指導により、島原から仕入れてきたワカメやカキの種苗の栽培を行っている。これは生活排水を避け海岸から500mほど離れたところで、はえなわを用いて行っている。またクルマエビの放流も行っている。これは前原市と志摩町との共同で行っており、福吉漁協敷地内の水槽で5〜6cm位まで育成したものを放流する。元々この近海では天然のクルマエビが獲れていたが、沿岸海域の汚染が原因で、幼生期に湾内や沿岸で過ごす習性があるクルマエビはその数が大きく減少したための対策である。他にウニやヒラメ、ガサミ、赤貝、アワビなどの放流も行われている。

 

表2-4 二丈町の漁業生産基本構成の推移

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資料:漁業センサス

 

 

 

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