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【杉浦】西行法師の「年長けてまた来ゆべしと思いきや、命なりけりさよの中山」という歌があります。今回の議題で、どうしてもこの歌が頭に浮かんできます。北陸の観光資源は全国に誇れる一級品のものがあります。地元の方は誇りと自信をもって、観光ビジョンをしっかりと築きあげてほしい。それから北陸三県の共通項として味とかお祭りあるいは温泉、伝統工芸というようなものがありますので、三県合同で一般の国民に情報発信をしてほしい。

【松田】観光客の大半を占めていた団体客が落ち込み、逆に従来7〜8%しかなかった個人客や個人を中心とするグループ、あるいは熟年・若年の女性グループが急増しております。この方々が一番困っているのは、空港から観光地あるいは宿泊地への足です。タクシー以外になく、レンタカーを借りるにしてもなかなか難しい。これからは各地域のバス業者が話し合い、空港と観光地、あるいは観光地と宿泊地を定期的に結ぶようなネットワークをつくっていくことが必要ではないでしょうか。

【石月議長】この辺で瀬島最高顧問にご感想をお話しいただければと思います。

 

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地方の首長も討議に参加

 

【瀬島】第1点は、北陸観光の将来をどう見るか。これからの10年間で北陸新幹線、東海・北陸自動車道等交通のアクセスが大部分整備され、情報通信網が全国的に整備されると思います。次に政治・外交上の問題で、日本海が冷たい海から暖かい海になっていくでしょう。大陸と北陸との人の交流・経済交流もよくなっていきます。この寒い間に将来の体制を整備しておく必要があると思います。

第2点は北陸観光の推進の問題です。かつて四国の観光振興で四県を回り、徳島県で解散するとき、私は「四国は四県ではなく一県である」と話し、四県協力体制のテーマとしてお遍路さんを提案しました。それで四県はお遍路さんをテーマにした観光マップをつくりました。北陸三県も行政はもちろん、民間の観光協会が相互に連携・協力して取り組むことをお願いしたい。

【石月議長】以上をもちまして、討論を終わらせたいと思います。活発なご意見ありがとうございました。北陸三県の知事、副知事さんがご参加いただいておりますので、今後地元としてどのように取り組んでいかれるのか、各県の観光に関する連携のあり方などについてご意見をお聞かせいただけたらと思います。

【大永副知事】広域観光について3点を申し述べたいと思います。1点目は、三県が一つのイメージをもつための十分なコンセンサスをもつこと。2点目は誘客に際する周遊ルートの設定ですが、観光ニーズの多様化に対し、きめ細かなルートの設定とその対応策を考えなければならないと思います。3点目は情報の問題。やはり広域的に連携し、効率的・効果的な情報発信に努めていくことが大切と思っております。

【栗田知事】福井県が考えていることを紹介させていただきます。1つは、この北陸の新たな魅力のアピールとして、三県は手取層群で結ばれております。来年7月には恐竜博物館が完成、「恐竜エキスポふくい2000」を開催します。恐竜のメッカとして国内外にアピールしていければと考えます。2点目に今後の観光客の誘致につきまして、三県共同でいろいろ取り組もうと思っております。旅行業界でも来年秋から半年間、北陸のキャンペーン・イベントを計画しておられるようですので、三県の行政が一体になると大変効果が高いと思っております。3点目は三県連携の推進母体を充実・強化する問題ですが、観光関連組織を有機的に結びつけることにより、より効果的・効率的な施策が推進できると考えております。

【谷本知事】瀬島最高顧問の「観光は三県一つ」というお話はそのとおりと思ってます。それと温泉地全体の魅力をどうアップしていくのか。今、温泉地のまちづくりを県と地元の市町、それから旅館組合と一緒になって考え進めているところであります。また、夜の兼六園、それから能登半島の「キリコ」、そういったものを観光資源として、もう一遍磨きをかけて情報発信するといった取り組みを現在行っているところであります。とくに観光という面では北陸は一つという形でお互い情報発信に取り組んでいきたいと思いますし、お話しのありました来年秋の一大キャンペーンをきっかけとして、われわれも一緒に展開してまいりたいと思っております。

【石月議長】それではただいまから三県の知事から共同宣言を読みあげていただきたいと思います。

(北陸三県広域観光共同宣言)(後掲)

【石月議長】大変格調の高い力強い共同宣言をいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 

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