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会場風景

 

討議・意見交換

「北陸再発見―広域連携による新たな観光戦略」

 

【石月議長】最初に石川会場の「北陸における温泉地の魅力再創出」をテーマに意見交換したいと思います。

【下竹原】温泉は医学的な効用や癒しという意味合いがあります。その効用を強調する必要があると考えます。

【上口】古代から温泉地は日本人の癒しの場でした。それが戦後になり、質が変わってしまいました。いま反省を迫られ、まちづくりを始めました。1つは温泉地の原点に戻る。いま1つは伝統工芸を展示して、ゆったりとした雰囲気をつくろうと考えています。また、300年緑の会をつくり、ブナの木やトチの木が成木になる300年後を夢見て木を植え始めようと5年前から運動を展開をしています。そういう長期の視点を持ちながら自分のまちを再構築しようという努力をしております。

【舩山】一乗谷の朝倉氏の遺跡を見まして歴史のバックグランドのすごみに感動しました。重要なことは、その地域のもっている特性を限りなく出すこと。これがグローバル化だと感じます。具体的には個人化であり、多目的化であります。旅のライフスタイルが変わり、それに応じたシステムをチェンジしなければいけない。ついでにWACのことを、私はあえてその頭文字をワイドリー、アクティブリーにコーポレートしていくと理解し、実は2000年の下期ぐらいに各旅行会社と組んで具体的なアクションを起こそうと考えております。

【石月議長】次に富山会場の「北陸における冬の観光振興」をテーマに皆様のご発言をいただきます。

【須田】冬の北陸では雪が降ると交通の面などで大変な所というイメージが拭えていないのではないでしょうか。ところが、ここは雪に強く、トンネルもできましたから、よほどのことがない限り鉄道、道路は影響を受けません。空港もそうです。しかし、正しい報道がなされていないと思います。それをまず明らかにし、正確な情報発信をしていかないといけない。つまり情報上の山を崩す、それがキーワードと思っております。

【坂井】何となく富山県も冬に観光ができるんだという自信がでてまいりました。これまでのイメージを取り外さなければなりません。少し考えれば、改良できるものがいっばいあります。立山にしても頂上まで行かなくても途中まででいい。黒部峡谷電車にしても10分か20分間開通すれば、都会のお客さんに喜んでいただける。そういうことで日本中に向かって「富山県へいらっしゃい」ということができると感じました。

【渡部】情報は2つあります。1つは意識せず自然に知らされる情報(マスの部分)、それと知りたいことをより深く知る情報です。ところがマスの中では選別され、あるゾーンにこないと印象に残らない問題があります。最近の各地区の魅力度情報では、第一位が北海道、次が京都、沖縄、長崎という指数がでています。北陸は興昧を引くところまでの量にいっていません。まずこれをクリアすべきです。次のステップは、旅行に行きたい人に分かりやすい情報をどう伝達するか。そのためには各県というより北陸でくくった方が興味をひくかもしれません。

【井山】北海道に台湾の方が昨年約10万人来られました。昔は夏を売っていました。いまは冬を売っております。4分の1以上が冬のシーズンに来ています。特別なことは必要なく雪合戦やそりすべりで遊んでいただき、それに温泉がついています。北陸でも十分来ていただけるわけです。そのためにはスキーだけ、温泉だけではなく、いろいろなものを込みにして売る必要があります。

【舩山】いまはむしろ手づくりの方が喜ばれる傾向があります。日常的な事柄を体験していただくことが以外に受けるので、ホテル、旅館あるいは地元の観光の方々やご婦人の方もみんなが一緒になっていく仕組みができるかどうかが一番ポイントです。

【長谷】福井、富山、石川各会場とも、終点はやはり情報の発信に尽きるのではないでしょうか。情報はそれぞれの安心の上に成り立つものではないかと思います。旅行をする人が楽しんで行ける雪の北陸ということをテーマにして、道路公団が積極的にタイヤチェーンを提供し、どこでも履き捨てていく、また、どこからでも履いていけるような状態にできないものでしょうか。もう1つは地区で発行する通行手形は、各旅館の温泉を楽しめるようになっています。いま、余暇を持て余しているこのときこそ、北陸三県それぞれの温泉を梯子できるようなルートづくりをご提案できないかと思います。

【石月議長】それでは最後の議題「広域共同情報発信」につきましてご意見をお願いします。

【桜井】これから海外からの旅行者が増えていくと思います。とくに東南アジアの旅行者はもっと増える傾向にありますので、雪国の情報をもっと発信すべきと思います。

【中村(宮代理)】広域観光の最大のネックは、縦割り行政に尽きるのではないでしょうか。運輸省の肝いりでこういう会議をつくっていただき、先ほど舩山社長から「アクションを起こす」というお話に大変心強く感じました。

 

 

 

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