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消費者はバブルが弾けて大変賢くなっています。私はこれからはアーバンツーリズムからカントリーツーリズムに変わっていくだろうと思います。この例は、群馬県に川場村というのがありますが、東京都世田谷区の学校と提携し、小学生の課外学習として稲を植えたことから、いろいろなフィールドヘ広げ、参加者も老人、親、ファミリーで満杯になる。そして、地元の生産の7割を世田谷区で買ってもらい、3割は地元で消化、100%完売になりました。キーワードは都会人に対する心の湯治場であり、いろいろな交流があるということです。

私は1997年に「旅フェア」をお手伝いし、初めて会場を幕張から大阪へ移しました。その際、身をもって体験した中で、「街道」というのが大事だろうなという気がいたしました。すなわち、広域連携でいくには1つの道を点と線で結んでいく。そこから面に広げていく。今回の恐竜博の目的の1つは街道を残したい。石川、富山、福井県のほか岐阜の4県で「恐竜街道」をつくるのが私の夢です。街道は約300キロぐらいありますが、恐竜だけではなく、うまい食べ物、健康などいろいろ体験してもらう。そして「道はもともとあるのではない。行き交う人が多くなれば自然にそこには道はできるのだ」という魯迅の言葉を残して最後の言葉とします。

 

討議・意見交換

「広域共同情報発信」

 

【伊藤】パネルディスカッションを始めます。最初は中央委員の方に北陸のイメージをお聞きし、つぎに環境の変化あるいは北陸の実状について、いろいろご指摘をいただき、最後に情報戦略に入りたいと思います。

【井山】私の北陸のイメージは温泉、山、伝統文化・工芸、こういう印象です。ただ、北陸は足(交通)が弱いかなという感じがいたします。

【下竹原】日本の歴史の故郷ではないかと感じます。そして、山の神あるいは水の神がいるような神秘を感じる地域です。

【田平】海・山岳の美に永平寺、総持寺等の古い文化。温泉は日本を代表する旅館が多く、観光の三要素を備えています。個人的には水が美味しいと思っています。

【舩山】北陸の統一イメージはできあがっていますが、例えば、温泉旅行でくくってみたりあるいは幾つかのエリアに分けると、ブランドや商品づくりがしやすいのではないでしょうか。それから宣伝はお客様の9割を占める東京・名古屋・大阪を中心に行うことをお勧めします。

【松田】とくに日本海の荒々しさは印象が強い。ただ、全体の情報発信が不足しているようで、九州では北陸のよさはあまり知られていないように思います。

【城田】当社は東京から小松空港へ毎日3往復飛ばしています。石川県金沢からの情報は届いていますが、福井県はちょっと情報発信力が弱いという感じがします。

【坪井】北陸は歴史・文化的、さらに伝統産業にも非常に魅力があります。中部中央横断道路が建設され、中部地方との交流を高めていくべきと考えております。

【渡部】今年、全国各県をイメージ調査した結果ですが、北陸の場合は日本海、海の幸、暗い、寒い、不便という演歌の世界がくるのですが、ちょっと情報を与えますと歴史・文化、自然、食という点で、聞く前と聞いた後のイメージが一番変わった地域です。情報の幅の問題かと思います。

【森谷】いまのイメージのお話は年齢によって違います。「富山の薬」。若い20〜30代の人にはこういうイメージはでてきません。もう1つ、PRとなると2年や3年では浸透しません。立山、アルペンルートは28年かかっています。しかし、三県共同PRとなれば5年から10年の間で浸透するのではないか。区切りは3年、そして5年。5年でもう1回振り返ってみる必要があると思います。

【新滝】いま時代の変化と消費者ニーズの変化に旅館は果敢に取り組まなければいけないと思います。例えば、いま岐阜・名古屋から昼食日帰りのお客様が来ています。そういうお客様の掘り起こしとか、個性的なブライダルを企画してもいいのではないか。それから「ゆのくにの森」ですが、非常に伸びているのは伝統工芸を体験するお客様。今年の夏も125%になりました。

【長谷】私が1番困っているのは、観光シーズンをどうするかということです。北陸が1つになったとき、春、夏、秋、冬、たくさんいいものがあります。そういった情報を発信できる確かなルートとルールをつくって差し上げるべきではなかろうかと思います。

【舩山】最近の旅行客の激変は低価格化・個人化・多目的化していること。こういったトレンドにどう対応するのか。一度、連泊にトライしてみたらいかがかでしょうか。同じ旅館で滞在するのは大変ですから、周りのレストランとか、時間をどう過ごすかを研究してみる必要があります。それから福井県の旅館には人的サービスのブラッシュアップを提案します。

【田平】いま大都会からのバス旅行など近場で日帰りの大都市からの安・近・短の旅行が多い。一方北海道には何万人と出かけており、両極の動きを呈しています。年齢は熟年層、女性の方々で、10年ぐらいすると旅行の60%は熟年層と考えられます。

【城田】安・近・短ですが、これから運賃の正常化の動きが出てきますと、いまのような安・近・短でいけるのかどうか分かりません。

【松田】バスも団体客は修学旅行だけになってしまったのですが、増えているのは個人を中心とする小グループ。これにバスはまだ対応できていません。

 

 

 

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