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「佐渡の冬紀行」といいますが、それ以降各地で「冬紀行」ものが売れています。ターゲットを絞った商品というのは、意外と数で勝負ができますので、力をえているところです。その時、勉強したことは地域と県当局あるいは旅館組合、交通機関の方々と一緒になってつくりあげるというのが大きな要素と思いました。

【岡本】地元でのそうした成功例をもう少しご紹介し、北陸の観光振興をはかる知恵を共有したいと思います。

【米澤】利賀村は利賀フェスティバル世界演劇祭というイベントで村おこしをしている村でございまして、35、36年前まで陸の孤島でした。それぞれの集落で老若男女が集まり、そばを打ち・食べる風習があり、現在も続いています。そこで、このそばを村おこしに使おうとなったのです。最初は学校の体育館でそばを振る舞うだけでしたが、しだいに家族や友人を誘ってくるようになり、現在の外でやる雪祭りに変わりました。15年になるいま2万5,000から3万人の方がお越しいただいています。私たちがお客様に何をすべきかということで苦労したのは、道路状況をよくすること、そして心のもてなしです。子どもから老人までイベントに関与しております。子ども民謡から大人の民謡あるいは食べものにも気を配り喜んでもらっています。今年、雪祭りに韓国の村から視察に来られ、韓国の方にも来てもらいたいとの要請がありました。8月27から30日に韓国で手打ちそばを実演しました。そうしたら、10月の利賀の山祭りに民俗舞踊で参加していただき、国際交流に発展しております。

【永井】石川県の白峰村でも、冬のイベントは天候と道路に苦労させられる状態です。私のところで冬のメイン産業はスキー客を中心とした観光ですが、だんだん減少化し三県で同じスキー客のパイを取り合っています。実は「雪だるま祭り」については、住民が楽しむイベントとしてスタートしたわけですが、現在では約1万人前後のお客様が来ます。ただ、これを長続きさせようとすると、住民の楽しみか、観光のために走っていいものかどうかという岐路に立たされています。イベントなり、祭りなりというものを活用しながら地域周辺との連携が必要かなということで話し合っているところです。

【道場】三国町は、かつて北前船の寄港地として栄えた港町です。現在は東尋坊を中心に沿岸に点在する水族館あるいはレジャー施設、神社仏閣、温泉と海の幸を売り物にしております。観光協会としては四季折々の詳細な観光情報を提供しようということで、新聞、テレビ・ラジオ番組に載せていただくよう広報宣伝をやっております。ただ、問題は乗用車での入り込みが多く、雪道が煩わしくて敬遠されるのではないかという気がしております。ぜひ行政からの応援もいただき、観光に軸足を置いた路線バスあるいはダイヤ編成等をお願いできないかと思っております。

【岡本】最後に瀬島最高顧問には総括的な所見を、石月議長に会議の総括的意見をお願いしたいと思います。

【瀬島】第1点は北陸に関わる交通アクセスが様変わりしつつあるということ。これから10年以内には新幹線や高速道路が開通、能登の民間空港も開港すると思います。第2点は、北陸は冬が問題という考えをなくすことが必要ということ。第3点は、オールシーズンの問題に少し冬を付加する程度でよいのです。観光資源が皆点在しておりますので、点を線にし、さらに線を面にし、平面を立体化していくことが大事だと思います。私は、先ほど冬の観光を別個の問題とする必要はないといいましたが、冬の観光は結論として心を癒す・身体を癒す、「癒しの季節だ」という考え方がいいと思います。

【石月】瀬島最高顧問から次元の高いお話があり、頭の中が整理されたような気がいたします。問題はこれをいかに組み合わせていくか。一番問題になるのは現在の旅行の日数。もう少し滞在期間を伸ばさないといけないのではないか。やはり欧米並みに有給休暇が取りやすい社会的雰囲気、ライフスタイルをつくることが必要だと思います。また、心理的に距離が遠いということについては広報・宣伝活動の不足で、大々的なディスティネーションキャンペーンをやることが大事だと思います。もう1つは、いまインターネットが急速に普及しておりますので活用すること。さらには新しい観光魅力の創造をもっとやっていくべきで、勉強の余地もあるとの印象を受けました。

 

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中央委員との意見交換が活発に展開される

 

 

 

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