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北陸にはすばらしい観光資源がたくさんあります。ブリ、カニ、甘エビに代表される日本海の味覚、富山湾に浮かぶ立山連峰の雪景色、加賀百万石の文化の薫りが漂う兼六園の雪吊り。あるいは越前海岸に打ち寄せる荒波に代表される冬の日本海、さらには雪景色の中に湯の香が漂う温泉郷の数々、そして雪と闘いながらも一方で雪と親しむ人情味に溢れる人々の暮らしぶりなど、これらは日本はもとより世界にも誇れるまさに北陸の宝であると自負しております。しかしながら、こうした資源を十分に生かし切っているかというと、まだまだ余地があると思っております。また、これまで富山、石川、福井各県では、地域の特色を生かすべく各種イベントにも取り組んできましたが、今後は三県連携による取り組みなど、工夫を凝らしていかなければならないと思っております。

 

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地元も積極的に発言

 

討議・意見交換

「北陸における冬の観光振興について」

 

【岡本】討議するテーマは北陸における冬の観光振興です。まず各委員の方に北陸の冬の魅力をどう捉えておられるのか、お話をしていただければと思います。

【石月】冬の観光客誘致対策として考えられることで、逆転の発想があるのではないでしょうか。例えば、日本海の荒海は冬の情緒が感じられます。蜃気楼についても宣伝になるようなアイデアがいろいろあると思います。観光の本質は異文化体験です。そういう意味で、南の国に住んでいる人にとって北陸の景色、冬の厳しさは大変な観光資源になります。日本の国内だけでなくシンガポールぐらいまでのアジアを視野に入れて、外国人観光客の誘客に進めるべきと思います。

【杉浦】イメージを逆転するようないろいろな工夫が必要だなと思います。「温かい」では富山・石川県の温泉場とか食べ物を大いに売り物にすべきです。「明るい」は雪の壁の中を通る観光道路が外人に受けると聞いています。3番目の「面白い」は越中おわら風の盆とか越中城端のむぎや節とか、民謡やお祭りをイベントとして取り組めば呼び水になると感じました。

【原山】JRで東京から富山は3時間半、飛行機では1時間程度あれば来られるんです。北陸3県いずれも東京から遠いという観念があります。それからこの地はおいしい食材がたくさんあります。山形県の「蕎麦街道」ではそれぞれの地域、あるいは沿線に点在しているということで、むしろお客様がそれらが離れていることを楽しんでいます。価格の安い物をいくつか楽しむというような形で、お客様を呼んでいるわけです。

【南】観光素材を勝手に3つに分けました。一つはあるがままの自然。もう一つは、自然と人間がミックスした風土といいますか雰囲気。3つ目が工芸とか文化。その中で、とくに観光で訴えるときには、あるストーリーなり、バックグラウンドをどう訴えるか。これに着目しなければいけないのではないかと思っております。

【矢澤】私はスキーが好きで、現在もやっております。ただ、真冬のスキーというのは、なかなか立山ではできませんので、他の県で滑っていますが、立山の春スキーは魅力が一杯です。うまくPRができたらお客様が集まるのではないでしょうか。昨日、瑞龍寺だとか井波彫刻を見せていただきました。もう1つ、世界遺産に指定された合掌造り、これもPRをしたら冬でも十分観光客を呼べるのではないかと感じました。魚の話では、いま全国的に正月の魚は鮭というイメージが伝わっていますが、正月の鮭に代わってブリをPRしたら需要が増えるのではないでしょうか。

【岡本】次に北陸の魅力をどう商品化するか。どこへ売り込むのか。広域連携あるいは異業種連携等の課題も視野に入れ、再びご意見をお願いします。

【杉浦】北陸の観光商品で、三県共通の商品をつくると大変アピールできるのではないでしょうか。具体例として、富山県の五箇山の合掌造り、利賀村の国際フェスティバル、石川県の兼六園、福井県の永平寺、これらを一本の線で結びつけることを考えたらと思います。それから有名な温泉場も伝統工芸もありますが、これはむしろそれぞれの個性を生かして宣伝する方がいいと思います。食べ物では寒ブリ、カニ、富山の干柿とか鱒ずし、金沢のお菓子類等を北陸名産として宣伝できればいいという感じがします。それから有名なお祭りは夏場ですが、冬場に向け一般の人にアピールできないかと思います。

【原山】実は佐渡の冬の旅をつくろうと「佐渡の味覚パック」を考えました。結果的に惨敗しました。それでコースを回遊するパック商品をつくったのですが、お陰様でほとんどゼロのお客様が、8,000人から1万人ぐらいになりました。

 

 

 

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