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富山サテライト会場

「北陸における冬の観光振興」

 

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会場風景

 

富山サテライト会場は11月18日に瑞龍寺、井波彫刻総合会館をエクスカーションした後、翌19日に富山全日空ホテルで「北陸における冬の観光振興」をテーマにフォーラムが開かれました。

フォーラムでは主催者を代表して中沖豊富山県知事があいさつしたあと、北陸における冬の観光の現状について、藤井健三富山県商工労働部観光通商課長から現状報告があり、これをべ一スに岡本伸之立教大学観光学部長のコーディネートによる討論・意見交換が行われました。討議は冬季観光客の増加をはかるため、観光素材の有効活用や観光資源の創出、あるいは冬の観光振興のあり方といった方向性について討論が行われ、最後に瀬島最高顧問と石月議長が感想を述べ、会議を締めくくりました。会議の成果は一言で「冬の北陸は"癒し"の季節」と表現しており、その内容はつぎの3つに総括することができます。

 

1. 素材の再発見

 

1]立山・白山や永平寺あるいは兼六園、厳しい日本海の荒波など、冬の景観は観光資源として見直すのに貴重な素材。

2]北陸の生活文化には、人間の長い営みの中で結果として生まれたものがあり、これを観光素材として着目。

3]魚介類が新鮮で、とくに寒ブリ、越前ガニ、甘えびなど、味覚資源は大変素晴らしく、温泉とともに大きな魅力としてPRし売り込む。

4]伝統工芸・祭りでは井波の彫刻やおわら風の盆など魅力的なものが多く、とくにお祭りでは観光客のために冬でも行う仕掛けを考える。

 

2. 素材の生かし方

 

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コーディネーター

岡本伸之氏

 

1]成功例として山形県の「蕎麦街道」、「佐渡の冬紀行」あるいは石川県の「雪だるま祭り」などが報告されたが、こうした成功例を学ぶ。

2]観光の本質は異文化体験にあり、国内のみならず海外でも台湾、中国からシンガポールまで視野にいれた誘客をはかる。

3]観光商品はいろいろあるが、例えば、目線を観光客の方に移し、北陸三県の名所を1本の線で結びつけるなど、三県共通のものをつくる。

4]観光をまちづくりの中に位置づけ、まつりなど住民が参加した形で振興していく。

 

3. 困難性

 

1]雪の北陸路は道路事情が悪く、足が向かなくなるので、観光を意識した路線バス、鉄道ダイヤの整備等が必要。

 

現状報告

「北陸における冬の観光の現状」

藤井健三 富山県商工労働部観光通商課長

 

北陸の冬期における観光客の入り込み状況は、最近3年間の季節別統計でみますと、12月から2月までの比率は、富山県13.0%、石川県16.4%、福井県13.4%となり、いずれも低い数字となっております。ちなみに比率の高いのは、6月から8月までの夏期で、富山県35.7%、石川県31.3%、福井県37.1%となっております。

この要因は、富山県の場合は立山黒部アルペンルートや秘境黒部峡谷といった雄大な自然景観を持つ山岳観光地が冬の期間クローズされること。石川県の場合は温泉や文化的な観光地が多く、両県に比較して季節変動は少ないものの、能登地域における入り込みが落ち込みます。また、福井県の場合は夏場に関西・中京方面からの海水浴を兼ねた観光客で賑わう若狭地域が、冬場は極端に少なくなることが影響しております。こうした季節の変動幅は、観光産業における設備投資あるいは人材確保の面で効率的な経営を阻害する要因ともなりかねず、サービス面への影響が懸念されます。そうした意味から、単に冬場の誘客を図るという視点ではなく、四季を通じて訪れていただく観光客の方々に、北陸の魅力を十分堪能してもらうため、関係者一体となって季節の変動幅を少なくしていく努力が必要と考えております。

北陸の冬は、雪に閉ざされた寒々とした地域という暗いイメージで語られてきた部分が多いのですが、それはもはや過去の事。冬の北陸は光り輝いていると思っております。

 

 

 

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