日本財団 図書館


討議・意見交換

「北陸における温泉地の魅力再創出について」

 

【安島】まず、地元三県の専門委員から話題を提供していただきたいと思います。

【坂井】富山県の温泉場は、冬が全くだめだという印象が県民の方にも強い。ちょっと視点を変えれば観光資源はいっぱいあります。アルペンルートはいまだに30年前と同じようなやり方です。宣伝に関しても、もう少し官・民一体となって考えていかなければならないと思っております。

【美濃屋】福井県の芦原温泉は、現在空洞化が目立ち、町当局の協力をえて「セントピア芦原」というのをつくりました。いま地元の婦人方と温泉の若おかみとの交流会をもち、商品開発を行っています。周辺の湖や海を利用することが今後のテーマと思っています。行政には、官・民一体のセクターをつくり、その土地の歴史・伝統・文化あるいは美術館づくりなどをやっていただきたいと願っております。また、2000年に恐竜博を行うわけですが、白鳥から福井までの道路を恐竜道路とかネーミングするなど、北陸三県をPRしながら開発していくことが大事かと思います。

【上口】山中温泉はこれまでの組織や価値観を捨て、新しい時代を生きる観光地の勉強を始めました。観光地の要諦として食事、住居空間、そして自然と環境という話しがありました。しかし最も大事なものは人。山中には伝統工芸などつくる人がたくさんおります。世界に1つしかない町を誇れるよう皆で取り組んでおります。

【安島】それでは、中央委員の方から北陸の温泉地のまちづくりについてご意見を伺いたいと思います。

【石月】この10年間は、恐らく100年に一度というような激変の時代です。今後の生き方としては、ターゲットをはっきり決めないと生き残れない。私が思いつくのは、真心のこもったホスピタリティです。また、観光地を魅力あるものにするには、文化水準の高い識見を持ったリーダーがどうしても必要だと思います。

【須田】いま温泉法による温泉は全国都道府県すべてにあるそうです。温泉の特色とは、1つは心と心の通い合い。2つ目は温泉場で生まれた文化、郷土芸能、特産品などのまちづくり。そして、湯治・宴会のイメージから脱皮を考えなければなりません。その方向は温泉を核とした町づくり。地域が連携して温泉連合みたいなものをつくり情報発信をすることが大事だと思います。それから温泉は一つの出発点であり、中間点でもあり、あるいはターミナルですので、付近の観光地とうまく組み合わせ、モデルコースを提案することが大事だと思います。

【桜井】観光は1つの総合文化ですが、将来の大きな環境変化は少子化問題です。観光がどう変わっていくのか見通す必要があるのではないでしょうか。また、海外から日本に来られる方も、現在は大方パターン化していますが、その次は多様な価値観のマインドが出てくるのではないでしょうか。もっと別な情報を発信、外国人に楽しめるものにしなければならないと思います。

【原田】実は運輸省の観光部をできれば局か観光省、あるいは商工観光省にして、もっと予算を増やしていけば、観光産業は形だけではなく身を結ぶのではないかと思っております。

【山口】日本中どこでも掘れば安易に温泉ができるという認識を、老舗の温泉地がもつことが大事です。また、アジアの人に対する道路標識だとか施設表示などの案内は不親切です。北陸はPRが上手でないというお話ですが、広域観光ということで、温泉ラリーのようなもの官・民一体となってやることが大事だと思っております。

【守谷】北陸のイメージはリラクゼーションという言葉が一番ふさわしい。ターゲットを明確にした方が良いと思います。海外旅行では、いま25歳から29歳までの女性、それからファミリー、50歳以上の方々の需要が根強い。何といっても日本式サービスは魅力があります。それからシーズンとか日にちによる価格政策を考えたらどうでしょうか。外国人への販促はインターネットが有効だと思います。

【柳田】北陸の日本海側の温泉場は太平洋側と同じ土俵では論じられません。これまでは時代にマッチしてきたわけですが、個人対応に遅れを取ってしまった。新しいニーズを取り込む必要があります。また、個人が自由に動ける地域づくりのため、旅館だけでなく地域や行政も含めて対応していく必要があると思います。

【奥西】これからの北陸観光について、1番目は全体の観光資源をネットワーク化、そのターミナル基地として温泉地を利用する。2番目は女性、高齢者、家族の人たちの心が癒されるようなサービスを提供する。3番目は外国人に対しても門戸を開いていく必要があると思います。最後に観光会議に女性の方々を積極的に参加させるべきと思います。

【麦屋】広域観光は結構ですが、具体的に何をするかという提案ができないのが悩みです。

【竹村】2日泊まるのに10万円用意しなければいけない。一泊二食のシステム等を改良すべきと思う。

【石月】祝日三連休化が実現しましたが、もう少し休暇をとれるような社会的雰囲気をつくることが重要です。

【麦谷】2002年に学習指導要綱が変わりますと、観光の果たす役割はすごく高まると思います。そのためには料金を安くするなど、工夫をすべきだと思います。

【坂井】宇奈月温泉は過疎化が進んでいます。おみやげ屋さん、魚屋さん、八百屋さんで働く若い人がいない。旅館もそうです。ますます町が寂れ、若い人がいなくなるという現象が各温泉地にあるんじゃないでしょうか。

【安島】最後にこれまでの議論を踏まえ、行政としての対応を石川県の山岸部長お願いします。

【山岸】観光の魅力について、先ほどからお話がありましたけれど、風物・産物・人物の3物が大変大事だと思っております。この3物をしっかり打ち立て、観光振興をしていきたいと思います。また、温泉地の皆さんの意欲的な取り組みについて、支援をしていきたいと思っております。最後に「ほっと石川」というキャッチフレーズが完壁になるように精一杯これから支援していきますので、今後ともよろしくお願いします。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION